小林和作>エピソード
カプリで感じたものは故郷秋穂
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  小林和作 カプリ島で風景画を描いたことで、のちの風景とか自然に対する考え方の芽生えがあった。
和作自身、「風景描写きわめて正確、視覚的、澄明でごく明るい」と語っている。
その島は故郷の秋穂(瀬戸内の明るく乾燥した白砂青松の地)に似ていたのだろう。

「秋穂(01−431)」その水彩画を元にした「荒海」。

01−431「秋穂」
01−431「秋穂」
「荒海」
「荒海」(広島県所蔵)


洋行から帰国して当時のことを和作はこう回想している。

私は外遊から帰って、また元通りに東中野の家に住んだ。その頃私は財産があったので、絵を売ることは全然考えなかった。絵をかいて売るというのは、本当は画家にとってもっとも必要な営みで、この必要さを適度に持っている人々が、もっとも画家として発展するわけだから、これは恥ずることでも何でもない。私は不幸にして、この必要な営みから除外された画家であったので、励みも何もなく、勉強する気もなく、ただぶらぶらし、男の友人やあるいは女の友人の煽動に乗って、浮動している泡のような画家であった・・・。(評伝128「東京の家」より抜粋)


「アマルフィ風景」
「アマルフィ風景」(東京国立近代美術館所蔵)

昭和4年 4月に帰国。第七回春陽会展で裕伊之助ら6名で滞欧作品特別展を行い、「アマルフィ風景」など12点を出品する。

確証はとれてないが、「カプリ島1(01−440)、2(01−447)、3(01−448)」と 「画室にて(01−445)」「エクス風景(1)、(2)」「薔薇咲くカプリ島」も出したのではないか。


01−440「カプリ島1」 01−447「カプリ島2」
01−440「カプリ島1」 01−447「カプリ島2」
01−448「カプリ島3」 01−445「画室にて」
01−448「カプリ島3」 01−445「画室にて」
「エクス風景(2)」
「エクス風景(1)」(図録より転載) 「エクス風景(2)」(山口県立美術館所蔵)
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