小林和作>エピソード
上京、富豪画家への道
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小林和作
三十三歳の和作
三十三歳の和作(図録より転載)
5月、大正博覧会見学のために林重義とともに上京し、小石川の写真館経営者野島熙正に洋画コレクションを見せてもらい、中でも梅原龍三郎、中川一政の作品に打たれる。
11月、ついに日本画を捨て、洋画に転向するため、日本画の作品や画材を一切焼き捨てて、林重義とともに東京で油絵の勉強を始めた。
林は上落合(現新宿区上落合2丁目)の借家に入った。

01−526「軽井沢の春(其1)」
01−526「軽井沢の春(其1)」

その直後、当時代々木八幡に住んでいた林武を訪ね、家賃と生活費の援助を申し出て近所の借家に引っ越してきてもらう。
そこで林武から洋画の指導を受ける。
ついで梅原龍三郎と中川一政らを訪ね援助を申し出る。
梅原は世間的に認められていたが、他の二人はまだ無名であった。
その彼らを敬愛しながらも、経済的援助もしていた。
その後の彼らの活躍をみると、和作には先見の明があったと思われる。
援助の意味も含めて法外の値段で彼らの絵も購入していた。
しかし、彼らの前ではとても謙虚な弟子、頑固なほどに礼節の人であった。
その当時の彼はセザンヌの影響が強い(評伝126・私の絵の守り神はセザンヌである。)。
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