福原 五岳 ふくはら ごがく
夏景山水図 かけいさんすいず
寛政2(1790)年    墨・絹 軸   61.3×90.2㎝
 
福原五岳の作品には、紀年銘を記したものが少なく、寛政2年の款記のあるこの作品は貴重といえます。福原五岳は、池大雅に師事し、人物と山水を多く描いた画人として知られています。特に人物画は、彭城百川(さかきひゃくせん)以来の名手であると謳われたほどでした。風流洒脱の気性で詩文と酒を愛した五岳の交友範囲は広く、頼春水、細合(ほそあい)半斎、片山北海、木村蒹葭堂(けんかどう)など多方面に及びました。真意は定かではありませんが、「夏景山水図」は福山市の阿伏兎観(磐台寺観音堂)を写したものと伝承があります。
 
享保15(1730)年  尾道に生まれる。
名は元素。字は太初(たいそ)または子絢(しけん)。大助と称する。
号は五岳の他、玉峰、楽聖堂など。

上京時期は不明であるが、京都で池大雅に師事する。
後、大阪に移り大雅風を広め大阪画壇隆盛の先鞭をつける。
門人に、林閬苑(はやしろうえん)、鼎春嶽(かなえしゅんがく)、岡熊嶽(おかゆうがく)らが おり、いずれも画人として活躍した。

   
寛政11(1799)年  大阪で没する。